
TOKINOHA Ceramic Studioがある清水焼団地では、毎年秋に「清水焼の郷まつり」というイベントが開催されます。イベントのメインは陶器市で、100店舗近くの陶芸事業者が出店する京都最大の陶器市です。
TOKINOHAの代表である清水も、このイベントの実行委員として関わっていましたが、イベント内の飲食ブースで使われる大量の使い捨てプラ容器のことが毎年気になっていました。
イベントで使われる器が使い捨てのプラ容器であることは、当たり前ではあるのですが、陶器が至るところで販売されている陶器市というイベントで、ゴミ箱に使い捨てのプラ容器が溢れている様子は、あまり気持ちの良い光景には見えませんでした。「本物の陶器を使った飲食のイベントはできないものか」そう考えるようになりました。実行委員会として、何かできないかと提案してみたものの、なかなかそこに問題意識を持つ方は少なく共感を得ることはできませんでした。実行委員会として、何かできないかと提案してみたものの、なかなかそこに問題意識を持つ方は少なく共感を得ることはできませんでした。
そこで、実行委員会を動かすことは諦め、TOKINOHAとして動くことにしました。いつも粘土を購入している泉陶料の工場に目を付け、会場として使わせてもらえないかお願いしたところ、快く快諾していただきました。場所が決まったので、出店者を集めることにしました。できるだけ自分たちの思いに共感していただく方に出店していただきたいと、いろんな方に相談をして出店者さんを集めました。
イベントの開催資金集めには、クラウドファンディングを活用しました。多くの方のご支援を受けて、目標額20万円に対して、273%の546,000円が集まり、イベントで使う資材などに活用させていただきました。
イベントに来ていただいた方には、特に二つのことを感じてもらいたいと意識して設計しました。
ひとつ目は、「こだわりの料理を本物の陶器で楽しむ」ということ。
なぜか? それはもちろん、陶器まつりだからです。しかし、陶器を使うことの意義はそれだけではありません。使い捨ての容器を使わないということは、ゴミを出さず、地球に優しい行動であるということです。清水焼の郷祭りに来て、使い捨て容器ではなく陶器を選び、こだわりを持って作られた美味しい食事を食べる。来場者も楽しみながら地球に優しい行動をしている、そんなイメージがありました。実際に、オーガニックや環境に対する強い思いを持つ飲食店の方々が多く賛同してくれました。
ふたつ目は、「できるだけゴミや汚水を減らす」ということ。
せっかく本物の陶器を使ったマルシェを開催しても、食べ残しや汚水が大量に出てしまうと本末転倒です。これは難しい問題でもありました。当初は、お客様自身に食器を洗ってもらうことを考えていました。しかし、布問屋さんから「もう捨てる布の端切れがある」という話を聞き、「予洗い」をする案が出ました。これは洗剤や汚水の排出を最小限に抑えるためのものです。後日談ですが、これには予想以上の効果がありました。
徐々に、地球に優しいマルシェというイメージも固まり、イベント名を「器と寄り添うエシカルマルシェ」とすることに決めました。

この構想はほぼ思いつきから具体化しましたが、資金調達は大きな課題でした。初めてのクラウドファンディングに挑戦し、その結果、支援金額は目標の273%に達しました。予想以上の支援と共感のメッセージは、エシカルマルシェを絶対に成功させる励みとなりました。
また、清水焼団地がある京都市山科区の区役所からもエシカルマルシェに適した助成金の情報を教えていただきました。たくさんの人々のサポートにより、思いだけで走り出したマルシェが形になりました。
会場のレイアウトは、中央に飲食ができるテーブルを配置し、その周りを飲食ブースが取り囲む形にしました。食事が終わった食器は、お客様自身で「予洗い場」に運んでいただきます。「予洗い場」には小さな布とゴムべらが設置され、それを使って食器を拭き取ってもらいます。そのオペレーションは、トキノハのスタッフやサポートスタッフが一人ひとりに丁寧に説明しました。
そして、初日が終了。約600名の来場者がありましたが、ゴミの量はなんと3.5キロに抑えることができました。飲食ブースの方々がこだわりを持って提供した料理が素晴らしかったことも大きな要因ですが、「自分で食べたものを自分で予洗いする」という行動が食べ残しを最小限に抑えることができたと思います。


エシカルとは、英語で「倫理的な」という意味を持つ言葉です。オーガニック、フェアトレード、チャイルドレイバーフリー(児童労働に頼らない)など、人や社会、地球環境、地域に対する思いやりのある商品を意識的に選ぶことを「エシカル消費」と呼びます。これは食品、ファッション、雑貨など多くの分野で広がっています。
私たちは、大切な資源である粘土を使って毎日器を作っています。何が環境に対して可能なのか?まず、「エシカル=倫理的」であることを意識し、考えるきっかけを作りたいと思っています。そして、器を愛する皆さんと一緒に、小さなことから、楽しみながらエシカルを考えていきたいと強く思っています。

