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毎年10月の第3金土日に、トキノハのある京都・清水焼団地で毎年開催されている「清水焼の郷まつり」。
イベントのメインは陶器市で、100店舗以上の陶芸の作り手が出店してとても盛り上がるお祭りです。「エシカルマルシェ」は、そんな会場内でTOKINOHAが主体となり「見た目もおいしく、地球にもやさしい、新しい形のマルシェ」をコンセプトに開催しています。

※2020年は新型コロナの影響で中止

 

 

＜きっかけは飲食ブース＞

お祭りには欠かせない飲食店ブースもにぎわいを生む大きな要素です。主に地元の飲食店が中心となり、この日のために美味しい食事を提供してくれます。

京都府内だけでなく府外からもたくさんの人が集まるイベントですが、飲食イベントでは大量のプラスチックゴミが出るという現実がありました。周り一帯見渡す限りに陶器が溢れかえっているのに、その横で使われる器はプラ容器。ゴミ箱にはゴミの山。なんか残念だな、とずっと思っていました。

郷祭り実行委員会の会議でそんなことについて発言したこともありましたが、乗り越える障害は多く、そしてそれを乗り越える具体的な方法もそのときには全く思いつきませんでした。

 

＜まずはスモールステップ＞

そこから数年、毎年心のどこかでモヤモヤしたものを抱えながら過ごしていました。

 

そんななか、いつも土を購入させていただいている泉陶料さんに行った時に、ふと、「この工場の雰囲気めちゃくちゃいい感じやな。ここでマルシェとかしたらいい雰囲気になるやろな」と感じました。その瞬間、「そうか！祭り全体では無理かもしれんけど、場所を限定したらできるかも」と思いついたのです。すぐに泉陶料の代表の泉孝之さんに、アイディアを話し、場所を貸してくれませんか？とお願いしたところ、快諾していただきました。

 

「使い捨てのプラ容器ではなく、本物の陶器でお客様に美味しいものを食べてもらえる場所を作りたい！」急ピッチで動き始めたのは、２０１８年のことです。

 

＜ポイントは２つ＞

〇〇や、〇〇、共感してくれたたくさんの人と対話していく中で、欠かせないポイントも定まってきました。

 

ひとつ目は、「こだわりの料理を、本物の陶器で楽しめる」ということ。

なぜか？陶器まつりだから、もちろんそれも理由です。でも、陶器を使うことの意味はそれだけではありません。使い捨ての容器を使わないということは、ゴミを出さない、地球にとって優しい行動です。清水焼の郷祭りに足を運び、使い捨て容器ではなく陶器を選ぶ。こだわって作られた美味しい食事を食べる。来場しているお客さんも楽しみながら地球に優しい行動をしている、そんなイメージがありました。実際に、オーガニックや環境に対し強い想いをもった飲食店の方が多く賛同してくれていました。

 

ふたつ目は、「なるべくゴミや汚水を減らす」ということ。

せっかく本物の陶器を使ったマルシェを開催しても、食べ残しや汚水が大量に出ては本末転倒です。実はここが難しいところでもありました。当初の構想は、お客さん自身に食器を洗浄してもらうことを考えていました。けれど開催まで議論を重ねていくなかで、布の問屋さんから「もう捨ててしまう布の端切れがある」という話もあり、ならばその布であらかじめ汚れを拭きとり、その後、水と洗剤で仕上げの洗浄をする「予洗い」をしてはどうかという案が出ました。洗剤や汚水の排出を最小限に抑えるためです。後日談ですが、これには想像以上の効果がありました。

 

徐々に、地球に優しいマルシェというイメージも固まってきました。そしてイベント名を「器と寄り添うエシカルマルシェ」とすることに決めました。

 

＜クラウドファンディングと助成金＞

ほぼ思いつきも同然で具体化していった構想だったので、資金の調達は大きな課題でした。初めてのクラウドファンディングにも挑戦。クラウドファンディング終了時にはサポートの金額は目標の273％にもなっていました。自分たちが思っていた以上の支援や届いた共感のメッセージは、エシカルマルシェを絶対に成功させる励みになりました。

 

また、清水焼団地がある京都市山科区の区役所の方が、エシカルマルシェに合った助成金についての情報も教えてくれました。想いだけで走りだしましたが、たくさんの人のサポートで形にできたマルシェです。

＜会場の様子＞

会場レイアウトは、中央に飲食ができるテーブルを配置し、そのまわりをぐるりと飲食を販売するブースが取り囲むかたちになりました。そして、食事が終わったうつわは、お客さん自身で「予洗い場」に運びます。「予洗い場」には、小さな布とゴムベラが設置され、それを使ってうつわを拭きとってもらいます。オペレーションは、トキノハのスタッフやサポートスタッフがコンセプトとともに、お客さん一人ひとりに丁寧に説明していきました。

 

そして、１日目が終了。およそ６００名の利用がありましたが、ゴミの量はなんと3.5キロに抑えることができました。もちろん前提として、飲食ブースのみなさんがこだわって提供してくださった料理がすばらしいものだったということもあります。けれど、「自分で食べたものを、自分予洗いする」ということが、食べ残しも最低限に抑えることができたのではと考えています。

＜むすびに＞

エシカルとは、英語で「倫理的な」という意味をもつ言葉です。オーガニック、フェアトレード、チャイルドレイバーフリー（児童労働によらない）など、人、社会、地球環境、地域に思いやりのある商品を意識的に選択することを「エシカル消費」と呼び、食品、ファッション、雑貨など様々な分野で広がっています。

 

粘土という大切な資源を使い、日々器を作る私たち。環境に対して何ができるのか？まずは「エシカル＝倫理的」であることを意識し、考えるきっかけにしたい。そして、器を愛する使い手のみなさんとも、小さなことから、楽しみながらエシカルを考えていきたいと強く思っています